老眼手術のデメリットとは?多焦点眼内レンズのメリット・デメリットを知ろう

老眼手術のデメリットとは?多焦点眼内レンズのメリット・デメリットを知ろう

老眼を矯正する方法として、眼鏡やコンタクトレンズに加えて、近年では手術による改善があります。なかでも多焦点眼内レンズを使用した老眼手術は、メガネを使用せずに遠近両方の視力を回復させられる選択肢の一つです。しかし、この手術にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。

本記事では、以下の項目を中心に解説します。

  • 多焦点眼内レンズ(老眼手術)のメリット
  • 多焦点眼内レンズ(老眼手術)のデメリット
  • 手術以外の老眼治療・矯正の選択肢

ぜひ最後までお読みいただき、お役立てください。

老眼のメカニズム

老眼は、目の水晶体とそれを支える毛様体筋の老化によって引き起こされます。水晶体はカメラのレンズのような役割を果たし、厚みを変えることで遠近にピントを合わせる機能を持っています。若い頃は水晶体が柔軟で、遠くや近くの物に簡単にピントを合わせられます。

しかし、加齢に伴い水晶体が硬くなり、弾力を失っていきます。その結果、毛様体筋が収縮しても水晶体の厚みが調整できなくなり、近くの物に焦点を合わせることが困難になります。この状態が老眼です。

また、毛様体筋も加齢によって疲労しやすくなり、長時間近くの物を見続けると目の疲労感が強くなることがあります。老眼は避けられない加齢現象ですが、早めに適切なケアを行うことで症状の進行を抑えることが可能とされています。

老眼手術の種類

老眼は、加齢に伴って進行する目の調節機能の低下により、近くのものが見えにくくなる現象です。現代の医療技術では、老眼を軽減したり改善するための手術がいくつか存在します。これらの手術は、日常生活における視力の不便を解消し、眼鏡に頼らずに生活できるようにすることを目指しています。

ここでは、多焦点眼内レンズ挿入、モノビジョンレーシック、角膜インレイ挿入の三つの主要な老眼手術について解説します。

多焦点眼内レンズ挿入

多焦点眼内レンズ挿入手術は、白内障手術に用いられる技術を応用し、老眼を改善する方法です。この手術では、老化によって弾力を失った水晶体を取り除き、代わりに複数の焦点距離を持つ多焦点眼内レンズを挿入します。このレンズは、近くと遠くの両方にピントを合わせるため、術後はメガネを必要とせずに日常生活を送ることが可能になります。近くを見る機会が多い方にとっては、有効な手術法です。

モノビジョンレーシック

モノビジョンレーシックは、左右の目に異なる焦点距離を設定することで、老眼の症状を軽減する手術です。片方の目は遠くを見るために矯正し、もう片方の目は近くを見るために残したままにします。この方法により、遠近両方の視力をカバーし、メガネの必要性を減らします。モノビジョンレーシックは、中高年層の方におすすめであり、日常的に遠近両方の視点が必要な場面で効果を発揮します。

ただし、左右の目に異なる視力を持つため、脳がその違いに適応するまでに時間がかかることがあり、初期段階では違和感を感じることもあります。

角膜インレイ挿入

角膜インレイ挿入では、角膜に小さなレンズを挿入し、近くの物にピントを合わせやすくすることで、老眼の症状の改善を目指します。角膜インレイは、主に近距離視力の向上を目指しており、パソコン作業や読書を快適に行えるようにすることが期待されています。この手術の利点は、軽度の老眼に対しても適応可能とされており、短時間で効果が得られる点です。

また、手術が不可逆ではなく、必要に応じてレンズを取り除くことも可能とされています。ただし、夜間に光がにじんで見えるハロー現象が現れることがあります。

多焦点眼内レンズ(老眼手術)のメリット

多焦点眼内レンズは、老眼や白内障の改善に効果的な手術法であり、視力の不便を軽減するための有力な選択肢です。このレンズは、遠近両方に焦点を合わせられるため、日常生活でメガネに依存せずに過ごすことが可能になります。

ここでは、多焦点眼内レンズの主なメリットについて、遠近両用機能、レンズの多様性、そしてメガネ不要な生活の実現という視点から解説します。

遠近両方見えるようになる

多焦点眼内レンズのメリットは、遠近両方の距離にピントを合わせられることです。従来の単焦点レンズでは、近くか遠くのどちらか一方にしか焦点を合わせられませんが、多焦点レンズは近距離から遠距離まで広範囲で視力をサポートします。手元の作業や読書、パソコンの使用から、外出時の遠方の視認まで、幅広い視覚ニーズを一度に満たすことが可能とされています。日常生活での不便さが軽減され、視力矯正のためのメガネを使用する必要性が減ります。

豊富な種類のレンズから見え方を選べる

多焦点眼内レンズには、さまざまな種類があり、個々の視覚ニーズに合わせて選択できます。2焦点3焦点、さらには新しい技術を取り入れた多焦点レンズなどがあり、近距離、中距離、遠距離のどこに焦点を合わせるかを選べるのが特徴です。

さらに、ブルーライトカット機能を持つレンズや、ハロー・グレア現象(光の滲みや眩しさ)を軽減するタイプのレンズもあります。患者さんのライフスタイルや視力の状態に応じたレンズを選び、手術後の見え方に対する満足度を高めます。

眼鏡なしで生活できるようになる

多焦点眼内レンズを挿入することで、術後はメガネやコンタクトレンズに依存せずに生活できるようになります。患者さんが手術後に眼鏡を使用する頻度が減り、日常的な活動を裸眼で行えるようになるため、運転やスポーツ、読書、パソコン作業などがより快適に行えます。眼鏡の着脱が煩わしいと感じていた方にとって、メガネ不要の生活は大きなメリットです。この手術によって、視力矯正の自由度が高まり、生活の質が向上します。

多焦点眼内レンズ(老眼手術)のデメリット

多焦点眼内レンズを用いた老眼手術は、遠近両方を見やすくする効果的な手術法ですが、いくつかのデメリットも存在します。手術後の見え方には個人差があり、期待通りの結果が得られない場合もあります。

ここでは、多焦点眼内レンズのコントラスト低下、ハロー・グレア現象、高額な費用、不適用になるケースについて詳しく解説します。

コントラストが低下する

多焦点眼内レンズのデメリットの一つは、コントラスト感度が低下することです。これは、レンズが近距離と遠距離の両方に焦点を合わせるため、光を効率的に使い分ける必要があるからです。

その結果、コントラストが15%程度低下することがあり、物の輪郭がぼやけて見えることがあります。暗い場所や曇りの日など、光が少ない環境では、文字や細かいものが見えづらくなる可能性があります。このコントラストの低下は、メガネを使っても補正することが難しいため、手術を受ける前に十分な説明を受けておくことが重要です。

ハロー・グレア現象

多焦点眼内レンズを装着すると、夜間や薄暗い場所で”ハロー・グレア現象”が現れることがあります。ハローは光源の周りに輪がかかる現象で、グレアは光が強烈にまぶしく感じられる現象を指します。夜間の車の運転時や街灯が多い場所で顕著に感じることがあります。時間の経過とともにこの現象に慣れていくものの、一部の方は長期間気になる場合もあります。夜間の運転が多い方や、光に敏感な方は、この現象が生活や仕事に支障を来すことがあるため、慎重に検討する必要があります。

高額になる場合がある

多焦点眼内レンズを用いた手術は、単焦点レンズに比べて高額になることが多いとされ、費用面がデメリットの一つです。保険適用の単焦点レンズ手術では費用が抑えられますが、多焦点眼内レンズは自由診療となるため、全額自己負担が必要となります。手術費用はレンズの種類や手術を行うクリニックによって異なりますが、片目あたり数十万円〜両目で数百万円に達することもあります。

また、選定療養制度を利用することで一部費用が軽減される場合もありますが、患者さんの負担が大きい点は留意すべきです。

不適用の場合もある 

多焦点眼内レンズ手術は、すべての患者さんに適応できるわけではありません。緑内障や黄斑変性などの眼疾患を持つ方や、瞳孔が小さい方には不適用となることが多いようです。

また、白内障の進行がほとんどない場合や、コントラスト感度が高い場合には、手術後に期待した見え方が得られないことがあります。

さらに、脳が新しい見え方に適応する中枢適応がうまくいかず、手術後に視覚の違和感を感じる方もいます。そのため、術前の精密検査と適切なカウンセリングが重要です。

多焦点眼内レンズ(老眼手術)を受ける際の注意点

まず、術前の詳細な検査と医師との十分な相談が重要です。患者さんの眼の状態、生活スタイル、期待する視力改善の程度などを考慮し、レンズを選択する必要があります。

また、手術後の見え方に慣れるまでに時間がかかる場合があることを理解しておくべきです。夜間の光の見え方が変化する可能性があるため、運転など日常生活での注意が必要です。

さらに、多焦点眼内レンズは保険適用外であり、費用が高額になることを念頭に置く必要があります。選定療養制度の利用可能性についても、医療機関に確認することが大切です。

最後に、手術後のフォローアップも重要です。定期的な検診を受け、視力の変化や不具合がないか確認することが推奨されます。

手術以外の老眼治療・矯正の選択肢

老眼は加齢に伴って進行する自然な現象で、視力の低下を補うためのさまざまな治療法が存在します。手術以外にも、眼鏡やコンタクトレンズ、薬物療法などの選択肢があり、それぞれのライフスタイルや目の状態に合わせて選ぶことが可能とされています。

ここでは、手術以外の老眼治療・矯正の具体的な方法について解説します。

幹細胞エクソソーム目薬を用いた再生医療の可能性

幹細胞クリニック東京では、幹細胞エクソソーム目薬による老眼治療をご案内しております。

幹細胞エクソソームを目薬によって投与することで、患者さん自身の幹細胞を使用して目の細胞を再生し、加齢による水晶体の硬化や筋肉の衰えを改善することを目指しています。

再生医療技術を使った治療法は、老眼の進行を抑えるだけでなく、視力の回復をも視野に入れた治療が期待されています。

幹細胞エクソソーム目薬にご興味のある方は、ぜひ当院の無料カウンセリングにお越しください。

眼鏡

老眼鏡(リーディンググラス)は、近くの物を見る際に使う専用の眼鏡であり、手元の作業や読書時に使用するものです。また、遠近両用や累進焦点レンズ(遠近両用メガネ)は、近距離と遠距離の視力を同時に補正できるため、日常生活で使用されています。

最近の累進焦点レンズは、それぞれの目の状態に合わせた精密な調整が可能となっており、個別にカスタマイズされた眼鏡を選べます。老眼の進行に合わせて、定期的に眼鏡を調整することが推奨されます。

コンタクト

単焦点コンタクトレンズでは、度数を遠くに合わせるか、近くに合わせるかを選択できますが、遠近両用コンタクトレンズやモノビジョンという手法もあります。モノビジョンでは、片目を遠くに、もう片目を近くに合わせることで、遠近両方をカバーします。

ただし、この方法は脳が異なる焦点に適応する必要があるため、慣れるまでに時間がかかることがあります。多焦点コンタクトレンズもあり、遠くから近くまでの視力を補正できる便利な選択肢ですが、鮮明度がやや劣る場合があるため、個々の使用状況に応じた選択が重要です。

薬物治療

薬物治療は、手術や矯正器具を使用せずに老眼の改善を目指す方法です。現在、アメリカでは瞳孔を収縮させる効果がある点眼薬が老眼治療に利用されており、ピントが合わせやすくなる”ピンホール効果”を活用します。この薬物療法は、日本ではまだ認可されていないものの、将来的には老眼治療の一つの選択肢として期待されています。

また、水晶体の硬化を抑制する効果を持つ点眼薬も開発段階にあり、これが実用化されれば、より根本的な老眼治療が可能になるとされています。

多焦点レンズ(老眼手術)に関するよくある質問

多焦点レンズを使用した老眼手術は、視力を改善し、メガネやコンタクトレンズの使用を減らせる効果的な治療法です。しかし、手術に関してさまざまな疑問を持つ方も多いでしょう。

ここでは、多く寄せられる質問について解説します。

多焦点レンズと単焦点レンズの違いを教えてください

多焦点レンズと単焦点レンズの大きな違いは、焦点を合わせられる距離の範囲です。単焦点レンズは、遠くか近くのどちらか一方にのみ焦点を合わせ、例えば遠くに焦点を合わせた場合、近くを見るためにはメガネが必要になります。

一方、多焦点レンズは、近距離・中距離・遠距離の複数の距離に焦点を合わせるため、日常的な生活のなかでメガネやコンタクトレンズに頼る頻度を減らします。多焦点レンズは、視力の自由度を高め、より快適な生活をサポートします。

多焦点レンズにはどのような種類がありますか?

多焦点レンズには、主に2焦点レンズ3焦点レンズがあります。2焦点レンズは、遠方と近方に焦点を合わせ、主に遠くの景色や近くの読書を快適に行えます。3焦点レンズは、遠距離、中距離、近距離のすべてに焦点を合わせ、パソコン作業や読書、運転といったさまざまな視覚ニーズに対応するのが特徴です。

また、焦点深度を広げるEDOF(拡張焦点深度)レンズという種類もあり、焦点調整がより自然に行えるようになっています。それぞれのレンズには特性があり、患者さんの生活スタイルや視力の状態に応じた選択が可能とされています。

多焦点レンズ手術はどのような方に向いていますか?

多焦点レンズ手術は、老眼や白内障に悩む方で、手術後にメガネやコンタクトレンズに頼らずに生活したい方に向いています。遠近両方の視力を必要とする日常生活を送っている方や、運転や読書、パソコン作業など、幅広い視力が求められる方におすすめです。

また、乱視矯正を必要とする方には、乱視用の多焦点レンズも選択肢に入ります。一方で、緑内障や黄斑変性といった眼疾患を持っている場合や、コントラスト感度が高いことが重要な職業に従事している方には、不向きな場合もあるため、事前に医師との十分な相談が必要です。

老眼手術のデメリットについてのまとめ

ここまで老眼手術のデメリットについてご紹介しました。

要点を以下にまとめます。

  • 多焦点眼内レンズ(老眼手術)のメリットは、遠近両用機能、レンズの多様性、そしてメガネ不要な生活の実現が挙げられる
  • 多焦点眼内レンズ(老眼手術)のデメリットは、コントラスト低下、ハロー・グレア現象、高額な費用、不適用になるケースなどが挙げられる
  • 老眼手術以外にも、眼鏡やコンタクトレンズ、薬物療法などの選択肢があり、それぞれのライフスタイルや目の状態に合わせて選べる

老眼手術と多焦点眼内レンズは視力改善に有効とされていますが、夜間視力の低下やコントラスト感度の低下などリスクも伴います。事前に医師と十分に相談し、自分に適した治療法を選ぶことが重要です。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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